『星界の戦旗IV』

午前11時。
週末寝すぎたせいか睡眠が不規則になってしまい、ついつい二度寝でお仕事の荷物受け取り時刻に一時間遅れてしまった。

…と思って慌てて事務に駆け込んだら、「あれ?受け渡し時間、午後3時ですよ?」
結果として、4時間もの無意味な暇つぶしをするハメに。

星界の戦旗〈4〉軋む時空 (ハヤカワ文庫JA)

そんなわけで、手軽に時間を潰せる本を探してみたのだが、あいにく見知らぬ町の小さな駅の本屋は品揃えがあまりよろしくなく、読みたいと思っていた本は一冊も見つからず。
どうしようか、と思っていた時に、ふと目に入ったのが、コレだった。
こんなことがなかったら多分一生読まなかったんじゃないかなぁ、と思えば、少々感慨深くもあるような…ないような。

内容は、ちょっとビックリするくらいいつもの「星界」(というか、「戦旗」)。
「紋章」が出てからもう10年近く経つというのに、これだけ変わっていないというのは、ある意味スゴイのかもしれない。この作品を取り巻く環境(この作品が開拓者としての一翼を担い、急激なミューテーション(非進化)を今なお繰り返しているジャンル)の、あまりに大きい変化の幅を思えば、これはもう「生きている化石」にも等しいとさえ言える。
まぁ、早川だから、というのも大きいのだろうけど。

今回も、まったりと続く人類最終戦争の、まったりとしたアーヴの日常を描く、まったりとしたお話。特に山もなければ、オチもない。
「紋章」がまがりなりにも古典的王道のエンタメストーリーだったのに対して、「戦旗」の方はどうにも目的もなくただダラダラとお話が続く(しかも、刊行ペースの遅さときたら!)ため、「何か」を期待して読む手合いには少々辛すぎる面があると思う。で、私はその典型的な一人だ。
キャラ萌えだけで読むには、あまりにこの作品のキャラはコピーされすぎてしまってるし…

この作品が何故これほど刺激に乏しいのか。考えるまでもなく、主人公たちの属する陣営が「勝ち組」であること。
「紋章」ではその「勝ち組」から分離される事による「立場の逆転」を効果的に描いていたけれど、「戦旗」ではそれすらもない。戦争は起きてるけど、相手はメチャメチャ弱いし(相手側の指揮官・政治家の名前が一人もでない(まぁ、末端の人が数人は出るが…)戦争モノってある意味スゴイと思う)…

でも、この「IV」ではそのマンネリ加減にようやく動きが出てきた感じもする。
バルカン人を超えるパーフェクト種族だったアーヴが、突然無意味な大バクチを打つという半ば強引なプロットは、この先の帝国の大敗北を予感させるし、そうなってくるとラフィール弟の皇帝への出世劇(ラフィールはもうダメだろうなぁ…)という、誰もが予想していたのに裏切られた、王道プロットへの回帰も可能になるわけだから。

…でも、やっぱ微妙だな。
5巻が出た時読むかどうかは、その時また待ち合わせ時間を間違えるかどうかに掛かっている。