年末恒例

PRIDEはまだビデオ見てないので、K-1の感想を。

武蔵

とにかく立ち技の出来ないイージーな相手を呼んでK-1ルールで「武蔵は本当は強いんだ」というアングルを仕掛けたい谷川。
契約の提示すらしていない健介を引き合いに出して「健介が逃げた」なんて演出をやってしまうあたりの形振りかまわない姿は、見てて反吐が出る。

「遠距離の打ち合いでポイントを稼いで判定に」
そういう武蔵のファイトスタイル自体は至極理に適っていて否定されるべきものではないのに、谷川・K-1が彼を「ヒーロー」にするため、無理やり判定で勝たせたりするから、格闘技ファンの心(そして選手の心まで)がK-1から離れていくんだってこと、彼らは永遠に気づかないだろうな。
まぁ、オヘアーはプロレスラーらしい、いい仕事したよ。1Rでアレだけ見せ場作れば、その分塩っぱい武蔵の勝ちであっても輝いて見える。まさに「グッジョブ」ってやつかね。プロレスの。

ボビー

素人は怖い。

格闘技の世界でしばしば言われることらしいけど、ボビーはまさにそれだった。
まるで昔のボブ・サップを見ているような無謀な突進。でも、それが観客にとってはたまらない最高のパフォーマンスだった。

完全に優位なマウントに立っても決められない技術的な甘さはあったけど、それを補って余りある勢い・センスがあったんじゃないだろうか。
いずれにしても、K-1はサップに変わる新たな宝石(金の成る木)を手に入れてホクホクですな。

秋山

正直「やめときゃいいのに」と思うマッチアップだったけど、なかなかどうして、秋山の快勝は見てて胸が透く思いだった。

良く考えてみれば、ボタに総合をやらせるのも酷な話だったかもしれない。明らかにスピードがなかった。でも、相手も立ち技素人なんだがなぁ…

サップVSバンナ

谷川「グローブの交換に手間取ってます。これは好勝負に水を差しますねぇ」

…オマエが言うな!
と、弟と二人で同時に突っ込みを入れてしまうほど、謎ルールだったこの対戦。

サップは、明らかに夏の敗北から調子を戻してるようには見えなかった。
異常なまでに腰を引き頭を下げるチキンスタイルなので、Kルールの1Rは面白いようにバンナにド突きまわされて、正直レフリーストップが掛からなかったのが不思議なくらい。

「サップにはじっくり練習を積んで大きくなってもらいたい」と言ってたのに、自分達のせいでGPが大コケ、視聴率が危険になるや、瞬時に掌を返して映画撮影などで練習もできていないサップを呼び返した谷川への憎悪がまたヒートアップする。
しかも、バンナとセットの抱き合わせ商法で曙の前座。
彼らの功績に報いようとか、そういう思いが何一つないんだから、そりゃ選手も逃げますよってな感じ。

MIXルールも最悪。K-1ルールでは貝になって逃げまくるしかないサップ。一方で、総合ルールではバンナも全くいいところがない。
結局、勝者と敗者が生まれるのではなく、敗者が二人生まれるという、不思議な試合になってしまった。

二人とも、各時代でK-1を支えた大功労者なのに、この扱いはヒドイよな…
不滅のメインイベンター扱いなノゲイラヒョードルと比べたとき、ただただ寂寥感だけが残った。

グッドリッジ

「え?まだ現役続けてるの!?」
が、第一印象。

相変わらずノーガードで殴り合って壮絶にKOしたりされたりの試合。
まぁ、それが彼の持ち味だし、好きなところなんだけど…さすがに年齢的に良いパフォーマンスが出来てない。

マサトVSKID

これは素直に面白かった。

来年のK-1はムサシを切ってミドル中心にやった方がいいかもしれない。
あのスピード感はTV映えするし、彼らのマスクもキャラクターも十分に金が取れると思う。

でも、逆に言えば、谷川に引っ掻き回されるとダメになりそうな気がして嫌だな。
特にKIDは自分を下手にK-1に限定しないで、広くあちこちのリングに上がって欲しい。

藤田VSイブラヒム

今日唯一のK-1らしい豪快な立ち技でのKO劇。

…いや、二人ともレスリングの選手なんですが。
イブラヒムとか、アマレスの選手だから組んでナンボだろうに…

持ち味が全く活きないまま、それはそれで客が沸いてしまった不思議な光景だった。

だから、皆曙に何を期待してるのかと問いたい。
そもそも寝技素人の彼がホイスとグランドで勝負できるはずがないんだから。

「ヨコヅナだから強いだろう」
それがそもそもの間違い。チェスのチャンピオンがいきなり将棋のチャンピオンになれるはずがあるだろうか?相撲最強の人が柔術やボクシングでも最強になれるのなら、誰もが相撲取りを目指すだろう。

曙が決して弱いとは思わない。相撲好きだし、曙は特に大好きな力士。
だけど、だからこそ、曙がK-1やPRIDEでトップを張れるとは思わない。
戦闘竜のように、中級くらいのファイターときっちりルーリングを調整してやれば、そこそこ良い勝負ができるのだが…
もはやただの客寄せパンダとしてしか扱われないその姿には悲哀を感じるけど、それでも腐らない彼の明るさは、やっぱり好き。

今後、さらにヒドイ扱いをK-1からは受けるだろうけど、挫けずにいろいろやってほしいな。
猪木に乗ってプロレス行ってみるのも悪い選択じゃないけどね。