医療技術

で、この「暗黒神話」を読んでて冒頭からコケたのが「眼球移植」という設定。何が気持ち悪いって、これが一番気持ち悪い(というか、座りが悪い)部分だった。 まぁ、お話の根幹が「童話(=ファンタジー)」なのでそこを突っ込むのは野暮もいいところなのは分かっているのだが…

そんな時、ふと思い出したのが手塚治虫の「ブラックジャック」。

まだ全体の1/3くらいしか読んでいないのだが、そこまでの範囲においても、ブラックジャックには「眼」をテーマにした話が二編存在している。

春一番

角膜移植を受けた少女・千晶。術後、頻繁に見えるようになった青年の幻影に恋心を抱き始めた彼女は、ある日実在の「彼」と出会う。だが、実は彼には秘密が…

目撃者

ある事件に巻き込まれ視力を失った女性。犯人の顔を知る彼女から証言を得るため、警察はBJに「眼球移植」を要請する…

また、「ブラックジャック」以外でも、海難事故に巻き込まれ恋人を失った女性と不思議な幻影との暮らしを描いた短編があった(手元に本が見当たらないのでタイトルがわからないが)。

春一番」はこの手の話のまさにテンプレートとも言える構造の物語になっているし、後の二編はさらに捻りを加えて、静かな悲哀に満ちた深い物語を見せてくれる。
こういうのを見るにつけ、「神様」の二つ名は伊達じゃない、と心底思ってしまう。

…だから、猫耳裸エプロンとかそういうアレンジはやめませんか、チャンピオンの方々。いや、それはそれである意味正しい理解だとは思うんだけどさ。