テロリスト

あるところに小さな国と、大きな国と、それらをひっくるめた大きな「世界」そのものである組織とがあった。
仮に、大きな国をA国、小さな国をI国、世界規模の組織をK連としよう。

あるとき、A国とI国との間で諍いが起こった。
理由はどちらにあったのかと言われると非情に難しいのだが、とにかくA国はI国がK連の作法に反した行いをしていると厳しく批判し、I国はそれに対して「自分達は誠心誠意やってるのに」とA国に対して恨みを募らせていた。

ある日、事態は決定的にこじれてしまう。
A国からの有形無形の圧力に耐えかねたI国の代表がついに不満を爆発させ、K連の法度に大きく背く行為でA国の顔に泥を塗りつけた。
この暴挙に、K連はI国に対して実力行使を伴う制裁を発動。I国はこれによって事実上国家消滅の憂き目にあう。(K連のその動きにはA国の意思が強く働いていたのは推測に難くない)

数年後、騒動が落着して世界は元通りの(多少の小競り合いはあるにしても)静けさを取り戻していた。
だが、その平穏を突如として破る者達が登場する。
かつての争いでA国によって信じるところを奪い去られた、I国民の武闘派達である。

彼ら武闘派は人知れず水面下で綿密な計画を立て、突如としてA国の本拠に乗り込む。そして、誰もが想像できなかった大規模なテロを実行してのけ、世間を驚愕せしめた。

A国もK連も、一瞬その光景に呆然とし、そして怒り狂った。
だが、当のテロリスト達は堂々と凱歌をあげ、民衆の喝采を浴びたのだった。

おしまい。