徒然20070131

ご無沙汰しております。
長期のブランクの間のあれやこれはとりあえず無視してここ数日の話。

機械

正直、文脈を見ても、論旨から言っても、この人の立場から考えても、何故この発言がここまで非難されるのかさっぱりわからない。

男女同権という皮を被ったヒステリックな言葉狩りをする某党女性党首や、何の興味もないだろうにこれ幸いと騒ぎ立てる某野党筆頭党首や、そもそも他人事だと完全に知らぬ顔を決め込んでいる某与党総裁を見てると、なんだか柳沢という男に同情すら覚えてしまう。

そもそも、少子化対策って政策自体が、女性をアニマルな意味でのセクシャリティ分類に従属させようというものであり、それがこの国の将来にとって必要な事業である以上、経済原理に長けた大臣を置いてマクロ的・機械的な視野から問題を検討しよう、という姿勢は極めて重要な観点なんじゃないのかねぇ。
機械発言を否定したその口でそのまま少子化対策が重要だと言える政治家という人種の思考経路がいまいちよくわからない。

ただ、そうした新たな観点から重要な政策を推進しようとする政治家は、スコップを手に待ち構えている連中から(己の身ではなく、政策そのものを守るために)自分の発言の一言一句に至るまで常に細心の注意を払う必要があるわけで、そういった意味では、ボキャブラリーの貧困さというか、まぁ相手のレベルに合わせて柔軟に比喩のレベルを上げ下げする技量にやや不足があった点は、責められてもしょうがないのかもしれない。
まぁ、そんなこと言い出したら、この国から政治家が全て消えちゃうような気もするけど。

わんこ

10人以上から申し出のあった崖犬の引き取り先が決まったらしい。

一方で、同じ場所で捕獲された崖犬の姉妹犬は、引き取り手が現れずに殺処分になりそうだとか。

ま、この国の動物愛護ってのはそういうレベルなんだろうね。
猫作家を笑えないわ。

読書とか20061124

石川賢が亡くなったと聞いてショックを受けた人も多かろう、と思っていたら、灰谷健次郎が亡くなったと聞いた私の方がショックだった。
『太陽の子』は何度も泣いたなぁ……

念願だった乾くるみ『匣の中』を入手。
しかし、いざ読もうとして『匣の中の失楽』の結末を憶えていないことに呆然。
日々いろいろ感じ入ることが多い割りに、そのほぼ全てが砂のように記憶から零れていくのが、なんとも……

ヒカルの碁』の北斗杯編も読んだ。
なかなか興味深い内容だったが、それを書き記す気力がない。
書き記さないから忘れるんだろうけど(笑)

後、2chで拾った怖い話を貼る。
ttp://www.so-net.ne.jp/vivre/kokoro/psyqa1087.html

『ヒカルの碁〜佐為編〜』

ジャンプを読まない人なので、当然この作品も未読だった。

しかし、序盤数巻あたりを読んだことはあったので、だいたいの設定と人物関係は知っていた所に、作品中盤のクライマックスである「塔矢名人VS佐為」の最初の部分だけ偶然連載を読む機会があって、この勝負の行方だけがずっと気にはなっていた。

で、たまたまきっかけがあったので、これを機にとりあえず佐為編を通読。

……

いや〜、この漫画、こんなに面白かったのね。
そりゃ、人気も出るわなぁ。

こうしたテーブルゲーム系漫画のキモは、天才VS神童という主人公とライバルの関係ではなく、それを巡る他の選手達をいかに魅力的かつ個性的に描くか、という点と、ゲームの具体的な内容に踏み込むことなく、対戦の緊張感を描けるか否か、という点に集約すると考えられるが、この作品は、そのどちらにおいても高い水準で要求を満たしている。

特に対象年齢の低い少年漫画と碁という明らかに食い合わせの悪そうなコンビネーションを、ルール解説や具体的な対局の内容にあえて踏み込まず描くことでクリアしたことは(碁の普及という意味では効果が薄いが)、素晴らしい判断だったと思う。

登場人物達についても、個性はあるがアクが強すぎるわけでもなく、少年漫画のラインを踏み越えずにきっちり書き分けたこともさることながら、何より「どのキャラクターも好きになれる」という、陽性の雰囲気作りに成功しているのは、少年誌連載として高く評価されるべきだろう。
どうしても話の中心がプロ棋界の話になってしまうせいで、あかりを始めとする学校の同級生達が非常に中途半端な扱いになってしまったことだけは若干惜しい気もするが。

話として、間延びせず、といって詰め込み過ぎもせず、ジャンプ漫画にしてはめずらしくきっちりとキリの良い終わり方を一度つけている点も評価が高い。
第二部という形でこの後も少し続いていたようなので、そっちを読まないと最終的な判断はできないけど(笑)

とはいえ、これを読んでもやっぱり碁をやろうとは思えないんだよなぁ
昔からこういう「ツメ」のあるゲームは苦手な上、碁はあまりに複雑というか奥が深すぎて、めんどくさがりやの私にはとても無理。

『「御宿かわせみ」シリーズ14〜26巻』平岩弓枝

邪魅が非常にしんどい読書だった反動か、スイスイと気持ちよく読めるこのシリーズは心のオアシス状態。

14巻・15巻あたりからシリーズは「第二部」の様相を呈しているが、これが「第一部」よりもずっとエンタテイメントに満ちた作りになってきていて、益々好ましい。
七重の○○で心配した萌え分の不足も、新キャラの花世が完璧以上に補ってくれているし(笑)

第二部からはこれまでワトソン役に近い立ち回りだった同心・畝源三郎の他に、医者・宗太郎、岡引・長介あたりや彼らの家族達が各々役割分担した群像劇の雰囲気も出てきて、主人公東吾と彼らとの立場・身分の違いなどが上手く作用した結果、江戸の情景描写がより生き生きとしたものになってきている気がする。

20巻台後半からは2ndジェネレーションが台頭してくるのだが、順当に行けば明治を生きることになる彼らや、その更に次の世代まで想像を膨らませてみる、いわゆる「同人脳」的読み方をしたりなんかしたりしちゃって結構好き勝手楽しめる気楽な読書が出来るのも、結構嬉しい。

一方で、作品のバックグラウンドには、主人公・東吾の立場が激変したことと合わせて幕末の世情が色濃く出てくるようになったのだが、いかんせん幕末がこのまま進むと遠からずこのお話の基本構造自体が維持できなくなってしまうためか、「登場人物達は歳を重ねていくが、背景世界の方はいつまでも幕末のまま」という時間軸のズレが出ているのは、若干ややこしいかもしれない。
東吾の新しい職業にしても、ミーハーな見方をすれば主人公に相応しいかもしれないが、明らかに出世しすぎている上に激務の職なので、必然的に出番が減ることになってしまったのは(逆にサブキャラが活躍できる余地を増やしたという良い面もあるにせよ)若干残念な気もする。
そのせいか、通之進は益々マイクロフトになっていくし(笑)

もう一つ心配なのは、空気ヒロインと化している、るいの存在感の薄さだが、こちらはまぁ爆弾というか、大掛かりな伏線が張ってあることもあって、この先また大きな話で復活してくることもあるかな?と期待したいところ。

とりあえずは、「花世かわいいよ花世」ってことで。

20061029

新庄

役者だなぁ。
張本さんは「喝」入れてたし、実際その通りだとは思うんだけど、最後の打席での涙や真っ先に胴上げされたシーンなんかは、「ドラマチック」な野球で魅せる、新庄の真骨頂と言えたと思う。
ちゃんと三球ど真ん中に直球で投げたドラゴンズの投手も、勝負師としてはともかく、「プロ」としては良かったんじゃないかな、と。

小笠原、新庄、ヒルマンと立役者が軒並み抜けたことで、来年以降失速しないことを祈るばかり。
これだけ新人が活躍してる球団なら……と信じたいけれど。

パ・リーグプレーオフ

それにしてもソフトバンクは勝てないねぇ。

毎年ソフトバンク選手の涙ってのはもらい泣きするようないいシーンが多くて、スポーツに文字通り意味での勝者というのは必ずしも存在しないのかな、と思ってしまうが、特に今年はマウンドに崩れ落ちたエース斉藤を、ズレータカブレラの両外国人選手が助け起こすシーンが感動的だった。

こういうシーンは何度見てもいいな、と思うけれど、何度もやってるソフトバンクの選手にしたらたまったものではないか(笑)

履修不足問題

義務教育期間じゃないんだし、自己責任は問うて然るべきだと思うんだよなぁ。

「校長裁量による特別な卒業認定」を許そう、とかトンチンカンな意見が出てるらしいけど、そんなことしたら来年度以降どこもマジメに単位履修させるところが無くなってしまうぞ。
第一、悪いことしたやつの「やり得」になってしまうのが大問題だ。せめて、センターの点にペナルティつけるとかしないと。

というか、高校が「大学受験の準備をするための場」に成り下がってることへの危惧を誰も問わないのかね?
正規の統一カリキュラムを守って教養教育しないのであれば、高等学校を廃止して、大検一本+予備校という民間委託のシステムにした方が、よっぽど「民間にできることは民間に」の政府姿勢にも合致すると思うのだが。
同様に大学が「内定を取るための準備の場」に成り下がってる問題も合わせて、日本の「学歴≠教養」という構図が一層加速していくような気がするなぁ……

まぁ、単位計算とかロクにしてなかった自分の大学生時代を考えると偉そうなことは言えないけど!

『邪魅の雫』京極夏彦

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

某所で見た作者インタビューでのやり取り(うろ覚えだが)。

「今回、益田や青木と言ったサブキャラクターが中心になってますが、これはどういった狙いで?」
『この程度の事件、彼らで十分でしょう』

まさにこれに尽きる作品。
「この程度の作品」、できれば400ページくらいまでに抑えて欲しかった。

本作は、前作「陰摩羅鬼」がシリーズ一作目の「姑獲鳥」に対応していたように、「魍魎」「狂骨」の二作品に対応した作りになっている(ように見える)。
しかし、残念ながら魍魎のあの不気味さや、狂骨のあの破天荒さの、いずれをも受け継いではいない。

事件が何故混迷して、怪奇の様相を呈しているのか。
今作品におけるそれは、捜査している側の単純な情報不足であることが読者には明白であり、作中で捜査側の人間達もそれを認識している。
「表層的な出来事は全て理解している」という思い込みが現実との乖離を生み出し、そこに不気味さを生じさせる事に成功した過去の2作品に比べて、雰囲気が盛り上がらない理由は明白であろう。

これが「陰摩羅鬼」のように「姑獲鳥」の逆視点による対比という構図であったならまだしも、今作品ではそうした試みが成功しているともいえない。(そもそも、そうした試みを2作連続でやられても面白かったかどうかはわからない)
単純に通俗娯楽小説(を、作者は自認しているとそうだが)として見た場合でも、明らかに冗長なモノローグ(モノローグ自体は作品テーマ上不可欠なものだが)の繰り返しに、読んでいて投げ出す人が続出したのではないかと思われる。
かといって文学(笑)の薫りが漂うわけでもなく、キャラクター小説として見た場合でも、前述のとおりメインキャラを出し惜しんだことで(榎木津の意外な一面という点では終盤は成功してるが)全く魅力を感じない。

結局、トータルで評価するなら、「読んでてしんどかった」ということに尽きる作品。
終盤多少盛り上がったのが救いと言えば救いだが、せめてこれが200〜400Pの中編に仕上がっていたら、と思われてならない。

レッドソニア

コナン・ザ・グレート」のパラレルワールドの話らしい。
コナンで人気の出た若いシュワちゃんも出てる。

まぁ、それはいいとしてだ。

「よくぞ選んだ。それこそ名刀ストームブリンガーじゃ」
(主人公が剣の師匠の元を旅立つ時に剣を与えられるシーン)

そんな剣押し付けるなよ(笑)